「海からあがると肉が食べたくなる」にこたえて

「上タン」(2,178円)は食べ応え満点の厚み。
7年前に創業して以来、客足が途絶えない焼肉 成翠園 下田本店(以下、成翠園)。オープンのきっかけは、代表の外岡雄樹さんが、宿泊業やマリンレジャー業、遊漁船業などを経て感じた「漁師もダイバーも、海からあがるとみんな肉を食べたくなる」という実感。11時半から夜まで休憩なしで営業するスタイルも、「彼らが仕事やレジャーを終えるのはだいたいお昼過ぎ。そのあとにいつでも来られるように」という理由なのだそう。夜はおひとりさまから家族連れまで、さまざまなお客様が席を埋める日常使いの“街焼肉”。現在、下田本店をはじめ、伊東、大阪、沖縄で5店舗を展開しています。

店長の山口さん。
下田本店を切り盛りするのは、店長の山口さん。神奈川県出身の山口さんは、サーフィンをしに下田に通ううちに、海の透明度、落ち着いた街の雰囲気、人のやさしさに惹かれて、10年ほど前に移住を決意。縁あって下田本店の店長になり、今に至ります。
「下田で家族ができ、今、子育て真っ最中です。暮らしてみるまでは不安もありましたが、自然が多い環境を子どもも楽しんでいて、移住してよかったと心から思っています」と、山口さんは話してくれました。
「明日のことは気にするな!!」の“街焼肉”哲学

「上赤身」(2,068円)ほか、人気のメニューが勢ぞろい。600gあるラーメン鉢入りの「めし大」(638円)は隠れ名物。
お肉のメインは黒毛和牛の牝牛。目利きの外岡さんが部位ごとに厳選して仕入れ、冷凍物は一切使っていません。外岡さんが「焼肉の聖地」ともいわれる大阪出身ゆえに、成翠園は「大阪もみダレ焼肉」を継承。「もみダレで揉んだお肉を焼き、つけダレをつけて食べていただきます。つけダレの隠し味は新鮮な果物。どちらのタレも秘伝の自家製で、自慢の味です」。

煙対策として、希望者にはゴーグルの無料貸し出しも(この日は煙が出る前からゴーグルをスタンバイ!)。
もうひとつの隠し味が、煙。「レトロなガスロースターからの煙は最高のスパイスなんです。肉の香りをまとった煙だけでごはんが食べられる、とツウのお客様に好評ですよ」。
店内には「街焼肉のすすめ」として、
- 網交換は遠慮なくお願いすべし。
- たっぷりの煙まで味わうべし。
- コチュジャン、ニンニクはたっぷり入れるべし。
- 明日の事は気にするな!!
が掲げられていますが、これは「今、目の前のお肉を楽しみ尽くしてほしい」という外岡さん、山口さんらの願いです。
今日のやすらぎと明日の元気がある

バックヤードに山口さんの息子さんが登場。
スタッフはみんな明るく、気さく。それを支えるのは、山口さんが下田に移住した際の思い。「移住の際に不安だったのは、自分の居場所ができるかどうかでした。お客様の中には、初めて下田に来られた旅行客の方や移住して間もない方などがいらっしゃいますが、そんな方たちも安心できる、そして楽しい思い出になるお店にしたいと思っています」。
山口さんの心がけの積み重ねは、下田内外にたくさんの常連客をつくり、県外から毎年決まった季節に訪れる“風物詩”的なお客様もいるのだとか。中には、「ただいま〜」と入ってくるお客様も。山口さんたちは「おかえりなさい!」とこたえます。 下田で生きる人たちのためにスタートした成翠園。通い慣れたお客様も、ドキドキしながら初めて暖簾をくぐるお客様も、ここでホッとすると同時に、明日の元気をもらっています。

煙にいぶされた店先の暖簾は7年目にしてこの貫禄……!

